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イノベーションで一歩先へ:激動の時代に成功を維持する

イノベーション戦略の策定が「不確実な時代を乗り切る鍵」となる

野村SRIイノベーション・センター(NSIC)は2021年7月に米国カリフォルニア州メンローパークのSRIキャンパス内に設立され、メンバー企業が既存の企業イノベーション活動を改良し、新たなイノベーションの取り組みを発展させる拠点としての役割を担っています。Chris Cowartは、NSICの所長として、NSICの統括・運営、プログラム内容、パートナーシップ、メンバー企業との協業を担当しており、企業がイノベーション戦略を効果的に進め、機敏性を維持し、将来に向けた計画を立てる上で活用できる指針を提供しています。

現在の企業リーダーたちは、前例のない課題に直面しています。特に大企業は、自身の既存事業の脅威となりかねないスタートアップ企業について懸念しなければなりません。

しかし、この課題は真のチャンスを生む側面でもあります。スタートアップ企業に追い越される心配をしなくとも、破壊的なイノベーションの可能性を適切に特定・活用し、そのイノベーションを奨励・促進する強固なプロセスを大企業が構築するきっかけともなり得るのです。

このイノベーションプロセスは単純かもしれませんが、適切に実行するのは困難です。伝統的な市場における日本企業を含む、私たちの仕事の大半を占めるような支配的な大企業が、破壊的なイノベーションを認識・優先し、継続的発展のために求められる機敏な行動の必要性を認めている例は稀です。

しかし、既存の大手企業も適切なアプローチをとれば、常に競合他社をしのぎ、創造的な破壊力でリードする、機敏な未来志向の組織になることができます。

破壊的マインドセットへの転換

企業が創造的破壊の競争に勝つために、ひいては長期的に発展を続けるために必要な第一の転換は、マインドセットの調整です。組織はまず、戦略全般の中核的要素としてイノベーションを優先する必要があります。これは必ずしも、イノベーションに投入する資金や時間の増加を意味するわけではなく、事業のあらゆる要素に関わる戦略的な必須事項としてイノベーションを扱うということです。

社内のマインドセット転換に向けての簡単な方法の1つに、「イノベーションサロン」の定期的な開催があります。外部の専門家を招き、テクノロジーやイノベーションをテーマとした基調講演やワークショップの場を提供するものです。

この時に重要なのは、組織全体でイノベーションについて話し合うきっかけを作るため、すべての従業員(時にはパートナーも)がサロンに参加できるようにすることです。また、「ハッカソン- Hackathons-」や社内プロジェクトのコンペも、大きなブレークスルーに繋がる可能性のある小規模でリスクを伴う経験を支援し、社内に紹介する方法として活用できます。

イノベーションの発生は場所を問わない

重要なのは、イノベーションは1つの部署や個人のものではないということです。従業員、パートナー、顧客、サプライヤー、投資家、取締役、業界の専門家、研修の先生などと、広範なエコシステム全体で大切に扱われなければなりません。

イノベーションとは、多くの場合、同じ問題を新たな角度から見るだけの事です。そのため、従来の管轄を超えた交流や協力ができるようにすること、さらには奨励することが、創造的思考や新たなイノベーションを刺激する一番の近道になる場合があります。

最も重要なのは、創造的破壊の実現を目指すイノベーションリーダーは、現状維持に甘んじず、考え方が異なる人や企業の多様なネットワークの中に身を置いていなければならないということです。

イノベーションの管理には規律と構造が必要

戦略の転換には、規律に基づく長期的プロセスと、時間をかけて企業文化に影響を及ぼすコミットメントが必要であり、通常は評価、構築、始動の3つの段階で進められます。

組織のイノベーション文化の現状を評価することは、イノベーションリーダーになるための初めの一歩です。どのように機能しているかを理解できれば、実験的な戦略を策定し、段階的なものから破壊的なインパクトのあるものまで様々なイノベーションプロジェクトのポートフォリオを始動・管理することが可能になります。

業界を問わず、イノベーションに対して規律ある総合的なアプローチを取ろうとしている企業は時代を先取りでき、潜在的な創造的破壊が現実になったとき、もしくはそれより前に有利に動くことができるでしょう。企業のイノベーションは成長にとって重要なプロセスですが、大企業で成功させるのは容易ではありません。その創造的破壊が、現時点でその企業が追求しているものと根本的に異なる場合は特に困難です。

イントラプレナー(Intrapreneurs)を見つけて支援する

多くの企業にとって最大の課題の1つとなるのが、イノベーションの変革者である「イントラプレナー」を発見・支援することです。

イントラプレナーとは、既存事業の中で新しくてイノベーティブな製品の創出を担う従業員のことで、簡単に言うとインハウスアントレプレナー(社内起業家)のことです。

イントラプレナーが大企業の中で破壊的イノベーションのプロジェクトやキャンペーンを成功に導くには、社内に通常存在するものとは異なるインセンティブやサポートが一般的に必要です。

企業は、イントラプレナーとその破壊的イノベーションプロジェクトが独立性を維持し企業文化に妨害されないよう配慮する一方、社内で十分に統合され、支持を得て最終的に変化をもたらすことができるように適切的にバランスを取らなければなりません。

「効果的なイノベーションプロセスの構築」に興味をお持ちの方へ

私たち野村SRIイノベーション・センター(NSIC)は、激動が続き、不確実性に満ち、複雑性が増しつつある現代において、イノベーションこそが企業の成功の鍵になると考えています。NSICは2021年以来、日本企業を通じたイノベーションの加速を使命として担うオープンイノベーションセンターとして活動しています。日本のメンバー企業とSRIのラボやシリコンバレーのエコシステムとの橋渡しを行い、新たなイノベーションについての理解と開発に向けて、コーチングや新しいテクノロジー、イノベーター、ビジネスモデルに出会う独自の機会を提供しています。

野村SRIイノベーション・センターの詳細は、https://www.sri.com/ja/nsic/をご覧ください。

タイトルの写真:
野村SRIイノベーション・センター(NSIC)のマネージング・ディレクター(所長)であるChris Cowart:メンバー企業に向けてイノベーション戦略に関する講義を行っている様子

編集/管理:熊谷 訓果/ SRIインターナショナル日本支社


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