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SRIの75年間のイノベーションについて: TerraSight®ソフトウェア  〜詳細に「状況」を把握する高品質のリアルタイムビデオシステム〜

「75年間のイノベーション」シリーズでは、SRIが設立された1946年から現在に至るまでの数々の画期的なイノベーションを取り上げます。SRIの英語ブログでは、2021年11月の75周年を迎える日まで、毎週1つずつイノベーションに関する記事をリリースしています。この日本語ブログでは、その中からいくつかを日本語にてご紹介します。

SRIインターナショナルの状況認識ソフトウェア「TerraSight™」

1961年にロンドンで交通安全のためにビデオの使用が開始されてから、「監視-モニタリング」の世界にビデオが導入されました。RCA(現SRIインターナショナルの一部門)は、感光性の集積回路で映像をデジタル形式に変換することができる固体のCCD(電荷結合素子:Charge-Coupled Device)の開発に貢献しました。また、CCDの開発によって暗い場所でもカメラが使用できるようになり、現在の監視カメラの基礎が築かれました。

SRIは撮影や放送用カメラの分野で長きに渡りイノベーションを続けており、現在も革新を続けています。2000年代の後半には「TerraSight™(テラサイト)」という新システムを開発し、対空監視や地上監視の能力を大きく引き上げました。

TerraSight™でより良い視界

米軍の対空・地上監視に関する需要・リクエストは非常に厳しいものです。不鮮明な画像は戦略の誤りや任務の失敗につながり、さらには人命を失うことにもなりかねません。米軍は、戦略の指揮統制を司る組織と技術的な機器の促進・強化、およびその実践に関するフレームワークとして、C4ISR(Command「指揮」、Control「統制」、Communications「通信」、Computers「コンピューター」、Intelligence「情報」、Surveillance「監視」、Reconnaissance「偵察」)を採用しています。TerraSight™の監視テクノロジーは、ミッションの司令官や戦術オペレーター、画像アナリストらが使用するコンテキストリッチな情報の正確性を担保することでC4ISRの能力向上に寄与しているのです。

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TerraSight™は高度な画像処理により、多彩な入力変数から複合的な共通作戦状況図(COP: Common Operating Picture)をリアルタイムに生成します。また、TerraSight™は最新のサービス指向アーキテクチャ(SOA: Service-Oriented Architecture)をベースとしたオープンスタンダードを採用しているため、拡張性と相互運用性に優れています。ソフトウェアのコンポーネントは、一般的なオープン通信規格のサービスインターフェースにて利用可能です。なお、オープンスタンダードを採用していることにより、このプラットフォームは新しいアプリケーションにすぐに組み込むことができます。

TerraSightは、全てのピクセルに正確な3D座標を付与するジオレジストレーション割付や、カメラ間の画像遷移をスムーズにするムービングターゲット表示など、現場で役立つ重要な情報を生成します。また、これらの情報は基準となる画像や地形に基づいて生成されることから、更に精度が向上されます。

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「TerraSight」の構成要素

TerraSight™は、3つの主要コンポーネントで構成されるモジュラーフレームワークです。

TerraSight™Manager: リアルタイムの画像処理、同期、ジオロケーション、ストリーミングを担います。TerraSight™ Managerは安定した動画にて移動する物体を強調する際に使用する移動目標指示を提供します。

TerraSight™ 3D Visualizer: 動画をイメージマップに重ねて表示するコンポーネントです。この機能では、最大8つの動画のライブフィードを重ねて状況を認識します。この映像を基に、地球の3Dモデルに重ねて画像を生成します。また、ポイント&クリック機能にも対応しており、ユーザーが場所を指定して高度を補正することが可能です。

TerraSight™Server: TerraSightプラットフォームで生成した画像やデータは、リアルタイムで保存、検索、送信することができます。TerraSight™Serverは各センサーのライブ画像の表示やDVR再生、ストリーミングの各機能をサポートします。その設定と状態管理は、ウェブベースの集中型インターフェースで行うことが可能です。

2012年には新しいコンポーネントである、TerraSight™ Salience-Based Compression (SBC) Moduleが追加されました。SBCではフルモーションキャプチャが可能となったことから、分散している兵士が携帯用のデバイスを介してミッションに不可欠な情報を閲覧・伝達できるようになりました。このテクノロジーにより、高画質を維持しつつフルモーションの動画とメタデータを低帯域幅のネットワークでやり取りすることが可能になったのです。このSBCモジュールの重要な開発によって、信頼性の高いWi-Fiにアクセスできない場面での携帯型機器による指令伝達が可能になりました。

物事をより良く見極める

TerraSight™ソフトウェアは、通信が限られているような厳しい環境下でも、行動に移せるようなデータを動画や静止画から得られるように設計されています。先進的な技術はすぐに時代遅れとなってしてしまうものですが、SRIはTerraSightシステムの拡張性と相互運用性を重視し、将来性のあるシステムを目指しました。その結果、TerraSight™はフィールドアプリケーションで採用するような大規模マルチセンサーやマルチプロセッシングワークステーションから、捜査分析に使用するシングルセンサーのノートパソコンにまで、既存・新規開発を問わず、さまざまなシステムに容易に統合することが可能になりました。この特徴や優れた画像取得・解釈能力が評価され、TerraSightは様々な境域を越えて採用されているテクノロジーとなっています。

SRIは、2012年にTerraSight™の軽量版であるTerraSight™ EXをリリースしました。TerraSight™ EXはWindows搭載のノートパソコンで作動するポータブルタイプとして開発されています。TerraSight™ EXでは無人航空機から受信した標準的な動画フィードを処理してリアルタイムの統合戦術情報に転換できることから、状況把握能力がより強化されました。

SRIインターナショナルはTerraSight™により、持続可能かつ相互運用可能なソフトウェア設計の模範となりました。サービス指向アーキテクチャに基づくコンポーネントを構築し、通信にオープンスタンダードを採用することで、SRIはTerrasightが現在、そして今後もC4ISRに採用されるアプリケーションとして有用であると確信しています。

SRI Internationalについて、詳しくはhttps://www.sri.com/jaをご覧ください。

参考資料:
YouTube, SRI International, Presentation of TerraSight at Technology Conference/FPED, 2009: https://youtu.be/WAsyJcZPNOM


SRI International, TerraSight Product Guide: https://www.digchip.com/datasheets/3316462-terrasight-terrasight-video.html


SRI International Press Release, 2012: https://www.prnewswire.com/news-releases/terrasight-video-exploitation-now-offers-full-motion-video-capabilities-to-warfighters-on-foot-139434748.html


編集/管理:熊谷 訓果/ SRIインターナショナル日本支社


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