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SRIの「炭素回収」に向けた技術開発と取り組みについて

SRIインターナショナル(日本)

「世界をより安全で健康的なものにするためには、私たちが楽に呼吸できる環境が欠かせません。SRIで私が現在取り組んでいるのは、大気中の温室効果ガスの大半を占めている人類が排出した二酸化炭素の回収であり、私たちが再び楽に呼吸できるようにするテクノロジーの開発です。」— Dr. Indira Jayaweera

今回のブログでは、よりクリーンで環境に優しい地球の実現を目指して、浄水膜の開発や石油由来の炭化水素回収、二酸化炭素(CO2)回収技術の開発など幅広い研究に取り組んでいる、好奇心の固まりのようなIndira Jayaweera博士をご紹介します。

SRIインターナショナルのInSys部門のシニアプログラムマネージャーである彼女は、スリランカのコロンボ大学で化学専攻の理学士号を、カナダのダルハウジー大学(Dalhousie University)で化学反応速度論の博士号を取得し、2017年にSRIフェローに任命されました。化学反応と化学反応のプロセスに関する深い知識を備えたIndira博士は、グリーンテクノロジー分野のイノベーションを牽引する存在なのです。

彼女は、非常に効率の高い炭素回収方法である混合塩法(MSP: Mixed Salt Process)の立役者です。このMSPの技術は、Baker Hughes(ベーカーヒューズ)と独占ライセンス契約を締結しており、より幅広い産業での活用に向けてスケールアップを目指しています。

SRIという整った環境での夫婦間の協力

ダルハウジー大学で博士号を取得したIndira博士は、夫のPalitha Jayaweera 博士が一足先に材料科学者(マテリアルサイエンティスト)として働いていたSRIインターナショナルに入社し、夫と共にカリフォルニア州に移り住みました。そして、夫妻で多くのプロジェクトを共に手掛けており、Indira博士アイデアを実用化する際に力になってくれたのは夫であると振り返っています。

SRIでキャリアを積むにつれ、Indira博士はSRIインターナショナルの化学と環境科学における発展に不可欠な存在となっていきました。SRIに入社後すぐに博士研究員(ポスドク)としてエネルギー省(DOE: Department of Energy)が進めていたプロジェクトに参加し、その後多くの経験を経て、新しいプロジェクトを立ち上げるまでになりました。

「私は元々、好奇心が旺盛な性格なのです」とIndira博士は言います。当時の上司であったSRIの科学部門のディレクターは彼女の能力を閉じ込めることなく、自由な発想でその能力を十二分に発揮できる環境を整えました。この自由に研究ができる環境は、彼女にとって重要なことでした。「自由にできたことで、思いついたことやとっても興味を持ったことを何でも試してみました。何でもといっても、単なる空想やあてずっぽうではなく、常に実用的な応用例があるプロジェクトですよ。」と博士は述べています。

楽に呼吸できるようにするための原動力

2004年にIndira博士は水溶性の無機溶媒を用いた二酸化炭素の回収に関する研究に取り組み、これが新しい混合塩法(MSP)の開発につながりました。当初は産業界との共同研究でしたが、このプロジェクトは炭素回収の産業化に関する重要な課題に応えるものであったことから、その後政府の資金援助を獲得するまでになりました。「1トンの二酸化炭素を回収するのに費用はいくらかかるのか」、「二酸化炭素を回収するために発電所からどれだけの電力が必要なのか」、「実用化後に、企業の炭素や二酸化炭素の排出量はどれくらい減るのか」など、回収コストを下げるにあたって、これらの課題に対する答えが必要でした。Indira博士は、このような問いに答えるための技術や実験条件を編み出し、次世代の実用化を目指してこのテクノロジーを前進させることができたのです。

MSPの成功に続く、Indira博士の最も重要なイノベーションの1つは、二酸化炭素回収のパイロットスケールでの技術実証実験であり、その施設は現在米国イリノイ州で建設中です。これは政府が出資しているプロジェクトで、SRIの主要な成果物の1つとなっています。この実証実験プロジェクトでは、イリノイ州で稼働中の発電所から排ガスを取り込み、その後SRIの混合塩法(MSP)を用いて排出される二酸化炭素を回収します。

MSPは、主要な点で他のプロジェクトとは大きく異なる二酸化炭素の回収法です。このSRIのプロジェクトでは、有機化合物を使用して二酸化炭素を回収するのではなく無機塩の混合物を使用するので、有害廃棄物が一切発生しません。このため、このSRIの混合塩法は本質的に安全なものであることから、他の炭素回収法より一歩先を進んだ方法なのです。二酸化炭素の回収効率を維持しつつ安全性を高めるということは彼女にとって重要なことでした。「私が仕事する上でポイントとするのは、廃棄物を増やさないことです。二酸化炭素を回収する技術で廃棄物が増え、その処理が大変になるようなことは避けたいのです。」と博士は述べています。

米国では、二酸化炭素の排出量を2030年までに2005年のレベルから50%に削減することを目標としています。これを達成するには、人間の活動のさまざまな分野で大きな後押しが必要です。二酸化炭素をその発生源で回収することができれば、大気中の温室効果ガスを減らし、「地球の呼吸」がより楽にできるようになるでしょう。産業界にまで拡張可能な、発生源で手を打てる効果的な炭素回収は、電気自動車など他の技術とともに、人類が気候に及ぼす影響を軽減させることができます。これらの技術を組み合わせることで、世界はより安全で健康的なものになります。

このようなテクノロジーは、商業化に至る成熟度を示すレベルを1から9の段階で示す評価値の技術成熟度(TRL:Technology Readiness Level)にて評価されます。なお、TRLは欧州連合(EU)がEUの研究開発・イノベーション枠組プログラムであるHorizon 2020の一環として定義しています。混合塩法のTRL(技術成熟度)は現在、4から5となっています。この実証実験では、SRI社外のCSS技術の拡張性と能力を実証して、TRLを6近くまで引き上げて市場投入可能なレベルに近づける予定です。

回収コストのバランスをとる

Indira博士とそのチームは、排出源(発電所や工場など)からの二酸化炭素排出を減らすために、炭素の回収効率を高めようと積極的に取り組んでおり、排出される二酸化炭素の少なくとも95%を回収するという新しい目標を目指して技術改良に挑んでいます。そのポイントとなるのは、様々な発電所が排出する各種のカーボン量(炭素量)と、二酸化炭素の回収との経済的なコストのバランスをとることにあります。

「SRIは2004年に炭素回収プログラムを開始して以来、この課題に備えてきました。この先見の明があったからこそ、私たちはこの問題の解決に貢献できており、この貢献によって技術をさらに進歩させるための資金援助を受けることができるのです。新しいプロジェクトに取り組むためのインフラがすでに整っているということは、SRIは絶好のポジションにつけていると言えます。SRIには二酸化炭素回収に関するあらゆる技術や設備が備わっており、あらゆる実験に対応することができます。カリフォルニアでの小規模な試運転も可能です。様々な専門領域を有するSRIには、システムを迅速に構築するために必要となる、豊富な専門知識と経験があります。このように、SRIは初期の工程から実験へ、そして試運転までを迅速に行うことができるユニークな企業なのです。」とJayaweera博士は述べています。

情熱のもと、化学を通して環境問題に取り組む

Indira博士の情熱は、SRIをグリーンテクノロジー、特に炭素回収の重要な分野におけるリーダーへと成長させました。「次に何が起こるのか、次に何をするのか、どうすればもっとうまくいくのかを知りたいのです。私は常にこのように考えていて、まさにこれが私です。」と博士は述べています。

SRI Internationalについて、詳しくはhttps://www.sri.com/jaをご覧ください。

編集/管理:熊谷 訓果/ SRIインターナショナル日本支社

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