SRIインターナショナル(日本)
SRIの75年間のイノベーション : 航空機に搭載されているスタティックディスチャージャー(静電気放電棒)
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SRIの75年間のイノベーション : 航空機に搭載されているスタティックディスチャージャー(静電気放電棒)

SRIインターナショナル(日本)
「75年間のイノベーション」シリーズでは、SRIが設立された1946年から現在に至るまでの数々の画期的なイノベーションを取り上げます。SRIの英語ブログでは、2021年11月の75周年を迎える日まで、毎週1つずつイノベーションに関する記事をリリースしています。この日本語ブログでは、その中からいくつかを日本語にてご紹介します。

驚くべき発展:SRIの発明がいかに静電気によるダメージから航空機を保護したのか

お店の金属製の棚やドアノブなどに触れたときに、「バチッ」ときて驚いたことはないですか?その衝撃は、静電気もしくは静電気放電(electrostatic discharge:ESD)によるものです。私たちが普段体験する静電気はたいてい無害なものですが、静電気放電は航空機にとって重大な問題を引き起こすことがあります。私たちが静電気の衝撃を感じるときは、約3,000ボルトもの電圧がかかっていますが、飛行機にとってはわずか10ボルトの静電気放電でも、機内に搭載されている繊細な電気関連の部品にダメージを与えることがあるのです。

SRIインターナショナルは1950年代に飛行中の航空機を電波障害や静電気から守るために、スタティックディスチャージャー(静電気放電棒、Electrostatic discharge rods:EDR)を開発しました。今ではスタティックディスチャージャーはすべての航空機や宇宙船、タンカーに標準装備されています。

「セントエルモの火」に襲われることなく、大空を飛行する

航空業界において、静電気は深刻な課題となっています。静電気は、無線通信の妨害や火災の原因だけでなく、乗員や乗客に衝撃を与えたり、さらには重要かつ繊細な電気部品を故障させてしまうこともあるのです。空の旅が一般的になり始めた1950年代頃、航空業界は静電気は航空機にとって悪影響を及ぼしていることに気づきました。

この問題を解決したのが、SRIの研究者が開発したスタティックディスチャージャーです。これは、航空機の翼の後方から突き出ている金属製のワイヤーで、客室の窓から見たことがある人もいるでしょう。

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スタティックディスチャージャー(EDR)

スタティックディスチャージャーは、飛行中に発生する埃や氷晶雲などの粒子が航空機の金属体と擦れて生じる摩擦に対処するよう設計されています。静電気は、この摩擦によって機体表面に発生します。この摩擦による静電気は、文字通り「摩擦電気(triboelectricity)」と呼ばれるものです。「セントエルモの火」と呼ばれるこの現象は、この静電気が機体表面に蓄積することで発生します。セントエルモの火とは、航空機の翼端や機首などの構造的な先端部分から「明るい青い光」が現れることです。幸いなことに、現在の航空機ではこの現象や静電気が及ぼす悪影響はほとんど発生しません。これは、SRIが1950年代に研究を重ね、スタティックディスチャージャーを開発したことによるものです。

摩擦帯電について

静電気が発生する一般的な例として、合成繊維のパジャマを着てウールの毛布を使う時を思い浮かべて見ましょう。この2つの異なる素材が擦れ合うと、電子(負の電荷を帯びた粒子)が一方の素材から他方に流れます。そして、電子を失った原子は「正の電荷」を帯び、電子が負荷された原子は「負の電荷」を帯びることになります。この過程が「摩擦帯電」と呼ばれるものです。静電気放電とは、このような異なる素材の電気的バランスを取る作用について指します。この摩擦帯電という自然現象は何千年も前から知られており、その最も古い記録としては紀元前600年に哲学者のタレスが琥珀を擦ると羽などの軽い素材が引き寄せられることを記しています。

SRIのスタティックディスチャージャー

アメリカでは、1950年代にボーイング707やダグラスDC-8などの航空機によるジェット旅客サービスが始まりました。SRIインターナショナルは、摩擦帯電によって静電気が蓄積するのを防ぐためにスタティックディスチャージャーを開発し、後に航空機の主翼の端に取り付けられました。

飛行中に埃や水の粒子が機体表面を流れると、摩擦によって静電気が発生します。航空機は主に金属でできているため非常に電気を通しやすく、高い高度での飛行は静電気放電を加速させます。現在は、ほとんどの航空機にスタティックディスチャージャーが主翼の後縁に取り付けられています。これは、主翼の鋭利な端の部分に静電気が溜まりやすいためです。スタティックディスチャージャーは、余分な電子を航空機から大気中に放出し、航空機の機体全体の電荷を減少させています。

最近のスタティックディスチャージャーは、炭素繊維を束ねて包み、長さ最大8インチ(約20センチメートル)の円筒状にしたものです。炭素繊維の一本一本が鋭く伸びていて、電子の流れを航空機から大気中に誘導して機体に蓄積された静電気を逃がし、多くの問題を引き起こしやすい放電を防ぎます。

SRIインターナショナルは、航空機の静電気蓄積という問題を解決することで、フライトの安全に大きく寄与し、現代の商用飛行の急速な発展と拡大の一翼を担いました。

SRI Internationalについて、詳しくはhttps://www.sri.com/jaをご覧ください。

参考資料:

YouTube, The dangers of STATIC Electricity! How aircraft handle them: https://youtu.be/ulK8TjUnGf8

SRI Internationalの発明の歴史: https://www.sri.com/hoi/electrostatic-discharge-rods/

編集/管理:熊谷 訓果/ SRIインターナショナル日本支社

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